薫る夕暮れ、わかりはじめる

読んだもの、観たもの、いただいたもの、詠んだ短歌などについての記録。

google翻訳と文語という沃野ー「不自由の不自由展 吉祥寺トリエンターレ」のある作品を観て

もう会期は終わってしまったのだが、先月吉祥寺で開かれていた「不自由の不自由展」がとても印象深かった。無論あいちトリエンナーレに触発されたもので、一周まわって自由のような、不自由のいちばん突き当りでもあるような、でも表現しなければ呼吸が止ま…

角川「短歌」2019年10月号

「特集「型」を歌に生かす 五七五七七の本質を知る」。 寄稿しているのは佐伯裕子、春日いづみ、梅内美華子、高木佳子、花山周子、小原奈実、大松達知、島田幸典、堀田季何、安田純生、今井恵子。 ごく大まかに言えば、切り口は二つ。 1,五七五七七という…

黒瀬珂瀾『蓮喰ひ人の日記』

この週末に黒瀬珂瀾さんの第三歌集『蓮喰ひ人の日記』を読み返す機会があったので、この歌集について私が今感じることをそろそろ書き記しておこう、と思う。 今回の黒瀬さんの歌集は1年1ヶ月に及ぶアイルランド、イギリス滞在の期間に書かれたもので、タイト…

La Rose et Les Planétes――『星の王子様』のモチーフを借りながら――

2015年9月19日に大阪・十三で開かれたマラソン・リーディング2015 in 大阪 with さくらこカフェ(@カフェスロー大阪)で朗読をさせていただきました。素晴らしい歌人の方々の間に交ざって朗読させていただけて、とても貴重な体験でした。 その際に朗読させ…

正岡子規『墨汁一滴』

正岡子規『墨汁一滴』(明治34年)から、新しい日本語の表記に関する記述を。「漢字廃止、羅馬(ローマ)字採用または新字製造などの遼遠(りょうえん)なる論は知らず。余は極めて手近なる必要に応ぜんために至急新仮字(しんかな)の製造を望む者なり。そ…

冬瓜(「未来」2015年4月号掲載作品)

冬瓜 十年の熾火抱えて冬瓜のさみどり君だけを割ると決める 「父はね」と夫が語ればたちまちに初夏の光を宿す胎 花びらを顔へ受けしよ空の破片硝子の羽と否定しながら 父慕う歌流るれば獣園のおまえはガゼル私は駝鳥 故郷に夫と立つたび夫の名を小さく忘れゆ…

井辻朱美『クラウド』

『水晶散歩』以来約10年ぶりの刊行となる、著者の第6歌集。 散文の論理ではない、詩の理不尽な結合力と飛躍力。 大人の「象徴界」ではなく、子どもの「想像界」。 最終的には、そこへ還ってゆくべきなのではないか、そんなふうに思ったのです。 そう語る「あ…

ある朝ある夕

ある朝ある夕 皿を出す音パンの匂いたぶんあれは娘だそろそろ七時半だろう まだ眠りたいからひとり食事する娘に朝のコーヒーをねだるうちのママはなんで面倒見てくれないの?と甘噛むように少女は寝床まであなたを呼んでつま先で背中撫でつつ聞く今日の予定…

近藤芳美『磔刑』

◇近藤芳美『磔刑』 1988年刊3月短歌研究者刊。第15歌集。 「1985年から86年夏にかけての作品よりなる。72歳、73歳の間である。…同じ時期、雑誌「世界」(岩波書店)に「歌い来しかた」という文章を掲載していた。…小さな仕事ながら、一歌人とし自らの作品を…

題詠blog2014後半(051~100)

《題詠blog2014後半(051~100)》 051:たいせつ はじめての白髪は恩寵のようでたいせつにジップロックにしまう 052:戒 閉ざしたる窓、その内のひとりきりの戒厳令をわたしのために 053:藍 うまいよ、と自慢も出るね女の子用ラケットに藍のテープを巻きぬ 05…

題詠blog2014前半(001~050)

《題詠blog2014前半(001~050)》 001:咲 職場へと送られながら室咲きのサボテンのごとくわらっていたり 002:飲 わたしならゆっくり食べる湯豆腐をひと飲みでたいらげたのだ、夫は 003:育 午後六時 色とりどりのパンプスが保育園の玄関にひしめく 004:瓶 こ…

留守番の日に(30首)

留守番の日に /柳原恵津子 まずは二度寝三度寝をするお姉ちゃんと夫がキャンプへ出かけた朝は 起きようとせがむ妹もくすぐって笑い転げる鈴でいてもらう ひとりでは食事の時間も曖昧で太陽のすすみ具合など見る 〈夫〉だとか〈パパ〉だとかいう水鳥の羽根積…

6月6日(金)、7日(土)

6月6日(金)◇ずっと懸案だった原稿をひとつ送る。問題の解決だけが私を前にはこんでくれる。 ◇連絡を取るべき人(数名)にまだ連絡をとっていない。身辺整理をしてからとつい思いがち。ビジョンが見えていないと話も出来ないだろうと思うからなのだが、この…

6月5日(木)

◇梅雨入り。量感のある雨の中をひさしぶりにサンダルで歩いた。いかにも夏。ばしゃばしゃと進む。 ◇下の子のピアノを見てあげる時間が、ちかごろなかなかとれない。初学のうちは寄りそってあげなければうまくならない。 ◇笹井宏之さんの作品を読み直している…

6月4日(水)

◇朝、本郷に寄って在職証明書をもらう。図書館に入れるようになるのに1週間かかりそうだけれど、資格をもらうとはそういうことなのだと思う。むかしお世話になった事務の方にあって、その方にお子さんが増えていたことに驚いたり、楽しく過ごした。 ◇夕刻、…

6月3日(火)

◇久しぶりに神保町を歩く。八王子で働いていた間は来なかった気がする。古書もネットで選んだ方がむしろいちばん安いものを買えるし。ただ、特定の古典文学作品に関する文献を悉皆的に買いたい時だけは、八木書店に出向いていた。品揃えと店主の知識を「頼り…

6月2日(月)

◇疲れを引きずった週明け。今日も1日頭が痛かった。夕刻、昨日一緒に川遊びしたママ仲間がみんな似たような感じで、「だよねー。」と共感しあう。◇夏にアルバイトをする必要があるかもしれない。未来の夏の大会も行きたいし。新しく探す前に身辺に連絡を取っ…

6月1日(日)

◇前日に角川短歌賞50首投函。ぼんやり過ごしてよい日にした。◇近所の子育てなかまで川遊び。おたまじゃくしや目高のこどもやあめんぼをバケツに泳がせて、お弁当を食べて、バケツの中の子をぜんぶ逃がして帰ってきた。◇この夏はじめての冷やし中華。ゴマだれ…

4月18日(金)、19日(土)

4月18日(金)、19日(土) ◇18日は学校。先輩方とはじめてたくさん話をした。同人誌作りたい。文フリに出たい。 ◇19日(土)。こどもたちと武蔵野プレイスへ。武蔵野市のぜんぶの『百年の孤独』がやっぱり貸出し中。『コレラ時代の愛』を借りてかえってきた…

4月15日(火)、16日(水)、17日(木)

4月15日(火)、16日(水)、17日(木)◇授業。毎日ほんとうに楽しい。自分が何をどう判断し、どう書いていくのか、毎時間考えさせられている。自分で望んで仕事を打ち切って来たのだし、その決断が正解だった予感をすでにかなり強く感じていて、なのに同時…

4月14日(月)

4月14日(月)◇授業開始。6時に起きて月詠の印刷。刷るばかりだと思っていたら一首足りなくて、慌てて付け加えた。確かに10首作ったはずなのだけど、どんな歌が落ちてしまったのか全く思い出せない。あまり気に入っていない歌だったのかも知れない。今…

4月13日(日)

4月13日(日)◇あきる野の河原で化石採集。河原の一部分に、まるで切られていない豚のバラ肉みたいに幾重にも重なった地層のあらわれた箇所があり、そこを金槌とタガネで一層ずつはがすのが要領。はがしてもはがしても固まり切っていない粘土のような泥ば…

4月12日(土)

4月12日(土) ◇文化学院の入学式。午後、マンションの理事会。大事な決定事項が多く結構紛糾。 そのあと上履きなど懸案の買いもの。 ◇少し疲れがたまって風邪をひいてしまった。鼻水とくしゃみがとまらず花粉症のような気もするけれど、微熱があってお腹…

4月10日(木)、11日(金)

4月10日(木)◇午前中、家。吉祥寺でのんびり昼食、本を読んだりして買い物。リュックサックやバインダーなどを探したけれど、あまり時間がなくてひととおり眺めて帰ってきた。パルコブックセンターで『ふらんす堂通信』をやっと買う。 4月11日(金)◇…

4月9日(水)付『近藤芳美集』第3巻『遠く夏めぐりて』

4月9日(水)◇昼まで読書、家事。午後、こどもの懇談会。◇新しい担任の先生がこどもたちの様子をデジカメで撮って、テレビで見せてくれた。SDカードとそれを読み込めるテレビがあればそれができるのだよな、と感動した。◇懇談会ではこどもの二次性徴につい…

4月8日(火)

4月8日(火) ◇休み。午前中ほぼ眠って過ごしてしまった。春休み疲れ?こどもと昼食、午後掃除の続きなど。いくらわたしが主婦だからといってひとりでは無理です、と家族に10回くらい懇願する。でも仕事を辞めた以上、家事の全責任を追うというのも多分…

4月7日(月)付『近藤芳美集』第2巻『黒豹』

4月7日(月) ◇小学校の始業式。掃除して、お世話になっている仲良しのお友達を夕刻あずかる。 ◇どうしようもなかった家を大分片付けて、よく人をまねいた春休みだった。こどもたちも楽しそうで、私も久しぶりにこういう安心をたっぷり味わった。できるだ…

4月5日(土)・6日(日)

4月5日(土) ◇何をしたかほとんど覚えていない。ほぼ家にいた?夕刻出かけた気もするけれど思い出せない。 ◇9首出来ていた月詠の最後の1首を、とりあえず絞り出した。過不足なく、ベストの改稿をしたい。でも時間をかけすぎずに(そういう技術として)…

4月4日(金)

◇休日。昼前にこどもと図書館。月詠。少し頭が理屈っぽくなってきたので、小説を読んだり映画を観たり。数首するんと出てきた。◇久しぶりに思い入れのある月詠になる気がする。手持ちの材料で作るのではなく、いい材料を歩き回って集めて作ったような。時間…

4月3日(木)

4月3日(水)◇旅行最終日。明け方3時ごろ、聞いたことのないけたたましい呼び出し音で家族全員のスマホや携帯が鳴った。津波の警報。海沿いの人はこんな音をいつも予感しながら眠り、鳴った途端逃げ出す覚悟で暮らしているのかと愕然とした。◇小名浜の町や勿…