薫る夕暮れ、わかりはじめる

読んだもの、観たもの、いただいたもの、詠んだ短歌などについての記録。

11月29日(金)、30日(土)

1129日(金)

◇午前、イギリス詩を研究している知人の部屋をたずねる。紅茶と焼き菓子をいただきながら、あっという間に2時間話し込む。日本語や英語の歴史、イギリスの詩、書くことと論じること、かつての政治の中心地で暮らすことなど。とても厳しく、大人らしくプロフェッショナルな方。ソーサーを(テーブルではなくて)膝に乗せて紅茶を飲むさまが日本人とは思えぬほど格好良い。あまりに楽しくて長居してしまったけれど、迷惑じゃなかったか心配。

 

◇その知人が自分は表現することに抵抗がある人間なので、翻訳や評論くらいの距離で文芸とかかわるのが丁度いいと言っていたが、その感覚が私にもよくわかる。私は実作をしているけれど、それでも自分の中にある情念のようなものをどこまでも掘り下げることにいつも抵抗を感じている。自分の気持ちなどはとりたてて表現すべきことではないような気がしてしまう。

 

1130日(土)

◇午後、新鋭短歌シリーズのイベント。不思議な空間だった。このシリーズの著者たちが今年の「新鋭」だとして、彼らの共通の特徴は何だろう。作品の面ではほとんど共通点がないと思う。所属先があるにしろないにしろ、こういう機会がいつか来ることに賭けて自分の居場所を定めてきた人たちだということかもしれない。

 

◇どの部も印象的だったが、特に第二部は面白かった。陣崎草子さんの、短歌とコラボしやすいジャンルとそうでないジャンル、コラボさせようとした結果短歌を選ぶ場合と短歌を捨てて詩を選ぶ場合とがあるという話など、みんなそんなに気前よく奥義を話してしまってよいのかと思ったけれど、気前のよい人間が勝つのかもしれない。

 

◇読んだ本、歌作 出来ず。